世界中から学生が集う米国大学の魅力

世界中から…

留学先として最も人気があるアメリカの大学・大学院には、世界約130カ国から57万人を超える留学生が学んでいます。留学生の中でも、アジアからの学生数は留学生全体の56%を占めており、インドを筆頭に中国・韓国・日本と続いています。(日本人留学生数42,215人/04-05年度)

これほどまでにアメリカの大学が多くの留学生を引きつけるのは、アメリカの民主主義に基づく教育に対する基本理念が関係しているといえるでしょう。アメリカでは、性別・人種・年齢・所得などに関係なく「学びたい者には教育の機会を平等に与える」というポリシーがあります。言いかえれば「やる気があれば、誰でもいつからでも学習をスタートできる受け皿がある」ということです。このような柔軟な教育ポリシーと、以下に列記したさまざまな特色が、これからも多くの優秀な学生を魅了していくことでしょう。

Ⅰ.米国大学の教育システム

教育制度の違い

アメリカの教育制度は,初等・中等(12年)の後、高等教育と3段階に分かれており日本の制度と基本的に似ていますが、日本は文部科学省が一元管理しているのに対し、アメリカでは地域ごとに教育内容から学校運営まで任されています。したがって、地域によって初等・中等の教育の区切り方・学習内容などが異なっています。

教育の基本は、学生の個性を尊重し、各人の資質を伸ばすことを目的にしています。高等教育機関においては、実学思考が強く、学部課程においては一般教養と実学を絶妙なバランスで学ぶことができます。また、学生の目的に合わせた多様な教育形態を提供しており、学びたい学生をいつでも受け入れられる体制が整っています。


Ⅱ. 米国大学の特色

教育水準の高さ

世界のトップ100大学の過半数がアメリカの大学であることや、ノーベル賞受賞者の多くがアメリカ国籍またはアメリカの大学・研究機関に所属している研修者であることからもわかるように、アメリカの教育水準の高さは国際的に評価されています。世界中から優秀な学生・研究者が集まるのも、アメリカの教育内容・施設・研究環境が優れていることにほかなりません。

選択肢の幅広さ

アメリカには、世界を代表するトップレベルのリサーチ系の大学から、リベラルアーツ(一般教養)を重視する小規模な大学、特定の科目に力を入れている単科大学、そして2年制大学、専門学校など、さまざまな高等教育機関があます。その数は2年制・4年制大学だけでも3700校以上になり、他国に比べ圧倒的な学校数を誇っています。これにより、地域・専攻・学力・学費など自分の希望に合った大学を選ぶことができるのもアメリカならではの魅力です。

柔軟なカリキュラム

アメリカの大学の特徴のひとつとして、学生が主体となって柔軟に学び方を決められることがあげられます。大学への入学・編入・卒業なども学期ごとで行われるため、専攻の変更や他大学への編入による単位の移行なども柔軟に対応しています。また、やりたいことが必ず学べる豊富なプログラムのラインナップにも注目です。2つの専攻(ダブルメジャー)の学習をしたり、実社会での実務研修、また授業に参加せずに進める自己研究などの制度もたいへん充実しています。

Ⅲ. 米国大学高等教育制度

4年制大学

大学の学部課程は通常4年間で、修了すると学士号(Bachelor Degree)が授与されます。1・2年次では一般教養科目を中心に履修し、3年次より専門課程の履修を始めるため、入学時に専攻を確定する必要はありません。また、副専攻(マイナー)を持ったり、2つの専攻で学位を取得するダブルメジャーで専門領域の知識を深めることもできます。

大学数は、公立・私立合わせて約2400校あり、大学院課程を持ち研究・リサーチに力をいれている総合大学、一般教養を重視したリベラルアーツカレッジ、芸術科目などに特化した専門大学などがあります。リベラルアーツカレッジは、伝統的な米国大学教育を特徴づけており、幅広い教養を身につけることを目的とし小規模できめ細やかな教育を行っています。

2年制大学

公立・私立の約1700校の2年制大学があり、卒業すると準学士号(Associate Degree)が授与されます。その代表とも言えるコミュニティカレッジ(Community College)は、公立の2年制大学で全米に約1100校あります。基本的には地域の住民を対象に多彩な教育プログラムを提供しており、学費が安いことやプログラムによってはアメリカ人学生の年齢層の幅が広いことも特徴のひとつです。

コミュニティカレッジでは、主として4年制大学への進学を前提とした編入プログラムと、卒業後に就職することを前提とした職業訓練プログラムを提供しています。編入プログラムでは、学士課程1・2年次に学ぶ一般教養を中心に、終了後取得した単位を移行して4年制大学に進学することが可能です。同じ州内の州立大学と編入の協定関係を結んでいる大学への進学には、ほぼ無駄なく単位を移行することができます。私立の2年制大学はジュニアカレッジと呼ばれ、学生寮をはじめとした各施設の充実、小人数制のきめこまかい指導が特徴で、主として4年制大学への編入を目的とした一般教養プログラムを提供しています。

専門学校・キャリアスクール

「キャリアスクール」(Career School)または「ボケーショナルスクール」(Vocational School)とは私立の専門学校のことで、職業訓練に密着した授業を展開しています。中には一般教養科目も提供し、準学士号の授与や4年制大学への編入単位を取得できる学校もありますが、多くは終了後にCertificateやDiplomaを取得できます。キャリアスクールでは特定の専門分野の教育を提供しており、実習による知識や技術の習得に重点が置かれた内容になっています。特に芸術系では、現在活躍しているプロが講師であったりと最新の技術を学ぶことができます。初心者の受け入れをしていない学校もあるため注意が必要です。


編入制度

アメリカの教育システムの特徴として、編入制度が発達している点は前述の通りです。アメリカの学生でも、約4割は最初2年制大学から始めて4年制大学への編入を果たしています。特に4年制大学に比べると、コミュニティーカレッジは学費の割安さ、入学条件の緩やかさ、小規模でアットホームな環境などから人気が高くなっています。語学面などでハンディを負う留学生にとっても、小規模な学校で慣れてから編入する道はトライしやすいといえるでしょう。

しかしながら単位互換の認定審査は、履修科目内容・単位数や成績などの審査が行われ、すべての単位が認められるというわけではありません。志望する大学が決まっているのであれば、個々の大学が要求する科目内容を調べておいたほうがいいでしょう。また、日本の短大や大学からの編入学も可能で、在籍校の履修内容を大学に提出することにより、日本の大学での単位も認められます。

卒業後の進路と就職

21世紀に入り、日本企業の多くは世界に市場を求めて企業活動を行い、いわゆるボーダレス社会が創造されつつあります。それに伴い、日本企業の採用基準は以前と変化が見られようになりました。

求められる人物像は以前の学生の資質・能力・意欲に加え、結果が出せる自立型で将来のビジョンを立てて行動できる人間、また自分の専門を極めているスペシャリストなどがあげられます。採用方法も年々分散してきており、必要な人材を必要なときに採用する通年採用の導入や、中途採用の導入なども増えてきています。

しかし、ただアメリカの大学を卒業するだけでは不十分です。留学を通じて得られる「世界標準」といわれる学術的かつ実学的な専門知識と、それらを駆使する知恵を兼ね備えた人材に、日本企業および外資企業は大きく門戸を開いているのです。