早稲田対策
2.文法・語法
(1)早稲田大学の文法・語法問題の特徴
独立した形のいわゆる文法・語法問題が出題されるのは、これまでの傾向から見ると、法学部と人間科学部と理工系学部に限られていると言っていいでしょう。特に人間科学部は、「前置詞の用法を問う問題」と「下線部間違い探し問題」がそれぞれ独立して出され、文法・語法が重視されていると言えます。法学部はかつて文法・語法問題に代えて会話表現が出題されたことがありますが、近年ではまた文法・語法問題に戻っています。
また、商学部でもかつて正誤問題が出題されたことがありますので、上記学部以外を受験する人も、文法の基礎事項の確認は、決しておろそかにすることはできません。
さらに、長文をきちんと誤りなく読み解くためにも、正確な文法・語法の知識は不可欠です。受験する学部に関わりなく、基本文法は体系的に整理しておく必要があるでしょう。
人間科学部の、下線部の間違いを探す問題は多くの受験生が苦手としているものですが、基本理解した上で落ち着いて考えれば正解できるものも多く、たくさん同じ形式の問題を解くことで文法的な感覚をしっかり磨いておけば対応可能となるはずです。
それに対して法学部の空所補充問題は、やや癖のあるものが混ざっていることが多く注意が必要です。出題形式も「文法的に間違った選択肢を選べ」という問題もあり、かなり精緻な文法・語法の知識を必要とするものも混じっています。また、法学部でも人間科学部と同様の正誤問題も出題されることがあります。ただし、こちらは法学部のほうが基礎的な項目により重点を置いています。
理工系学部も下線部間違い探しを中心に単語並べ替え問題など、文法・語法力が問われる問題が出題される可能性が高いので、計画的にしっかりとした対策をしておく必要があります。
(2)過去の文法・語法問題の分析と対策
【解法のポイント】
早稲田の文法問題の中で一番受験生を悩ませるものは、人間科学部で出題される下線部の間違い探しでしょう。基本的な文法事項に関する問題も多く出題されますが、一読しただけでは気づきにくい細かい部分を問うものもあり、十分注意して解答する必要があります。
とはいっても、まず与えられた文の意味を正確に把握しなくては、文法・語法の間違いも発見できません。それでは、実際過去に出題された問題を取り上げて、解法のポイントを検討してみましょう。
Closing | that | park | owned | by | the | city | will | make | the room | for a | playground | for | |
A | B | C | |||||||||||
children. | NO ERROR | ||||||||||||
D | |||||||||||||
(人間科学部の問題実例) |
この文では主動詞(その文の中心となる動詞)がmakeであることをまず確認しておきます。下線部Bのownedは、その後ろのby the cityと一緒になって直前の名詞parkを修飾している分詞形容詞(過去分詞)です。
ですから、that park owned by the cityは「その市によって所有されているあの公園」という意味のまとまりが見えます。そして、その部分が文頭のClosing(閉じること)という動名詞の目的語になって、will
makeへつながる主部を形成していると考えれば、ここには文法的な間違いはなさそうだと言えます。
さて、次に下線部CとDですが、まずDのchildrenは普通名詞ですが、複数形になっているので、冠詞がなくても問題はありません。直前のfor a playgroundと合わせて「子供たちの(ための)遊び場のための」と訳せるでしょう。
次にCのthe roomは、もちろんこの文脈では「部屋」であるはずがありません。roomに「余地・場所・スペース」という意味があり、この意味では不可算名詞となることを知っていなければいけません。そしてそれを知っていれば、make room forで「~のために場所をあける」という意味になることも記憶に残っているでしょう。つまり、the roomのthe は余計なものだということになるのです。したがって、正解はCです。
もし make room forを知らなければ、意味は前後関係から類推することは可能ですが、theの必要性の有無について明確な判断を下すことはできません。少なくとも「あやしい」とにらんで、Eつまり「間違いなし」か、Cで勝負をしなければならないでしょう。しかし、それでも2分の1の確立となり、A?Eの中で5分の1に賭けるよりははるかに勝ち目がありそうです。
全体の文意は「市が所有しているあの公園を閉鎖することは、子供の遊び場のための場所をあけることになるだろう」となります。
このように、文法上のポイントを自分で分析しながら正解を探っていく力を養成することが下線部間違い探し対策として重要となります。