入試改革によりますます多様化が進んでいます。 受験生にとってだけでなく、保護者にとっても当時とは大きく異なり、複雑なシステムに感じる方が多いようです。
まずは仕組みを正しく理解することが受験の戦略を立てることにつながります。
私立大学の一般選抜においては、各大学が自由に日程や方法を決めているため、その種類は様々です。 主なものは以下の通りです。
種類(主な名称例) | 内容 |
個別学部日程 | 従来から実施されている大学独自の問題、主に学部別に実施。 |
全学部日程 | 複数学部の試験を同日実施。複数学部・学科を併願可の大学もある。 |
共通テスト利用/ 併用入試 |
大学入学共通テストの得点で合否が決定。大学の独自テスト併用の場合もある。センター試験利用入試時より利用大学は増加(上智、学習院ほか)。 |
英語資格試験利用入試 | 英語4技能試験を外国語科目として利用。英語試験の免除、得点換算、加点など、大学・学部により様々。 |
総合型選抜は受験生の「個性」、「意欲」、「姿勢」、「適性」を重視します。よって、選抜方法は書類と面接を通して受験生個人を多角的に審査します。
大学によっては模擬講義をしてからレポートを作成させたり、グループディスカッションをしたりと、様々な方法で選抜します。まさに、「大学生としての適性」が試されると言えます。
慶應大(法・SFC)や早稲田大(国際教養)、ICU、立教大、法政大など多くの私立大のほか、国際教養大や横浜市立大などの国公立大でも実施されています。
学校推薦型選抜には、大学側が指定した高校から生徒を選抜する指定校推薦と、「学校長の推薦を得る」条件で募集を行う公募制推薦とがあります。
主に学業成績である評定平均を出願条件とする大学が多くありますが、その他に課外活動や英語資格試験などの実績を評価した選抜も多くあります。
上智大、慶應大(文)、明治大、学習院大など多くの私立大のほか、東京外国語大、千葉大などの国立大学でも実施されています。
総合型・学校推薦型選抜から一般選抜まで広く導入されており、その利用方法は様々ですが、より高いスコア・級を所持するほど有利になるのは間違いありません。
一発勝負の入試とは異なり、複数回の受験チャンスがあります。
多数の大学で導入されているため、併願戦略が立てやすくなります。
点数換算の方式ならば本番の点数が事前に確定し、精神的な余裕につながります。
出願資格 | 総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜いずれでもよくあるケース。基準以上の級・スコアを持っていると出願ができる。 |
書類審査 | 主に学校推薦型選抜、総合型選抜で利用。 |
試験の代替 (みなし得点) |
各大学が独自の配点で換算。独自試験を受験して良い方のスコアが採用されるケースも有り。 |
加点 | 入試の総合点に加点され、判定評価に利用。 |
入試改革が行われるのは、社会環境の変化が理由です。
AIの進展、グローバル化、少子・高齢化など、これまでに経験がない社会において、生き抜くための力をつけるために教育改革が必要と考えられました。
そして、その柱となるのが「学力の3要素」です。
①基礎的な知識・技能
②思考力・判断力・表現力
③主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度
これらの観点から適切な評価を行うために、入試改革が行われています。
2022年度の高校1年生から新学習指導要領が実施されており、これに伴い2025年度から新学習指導要領での大学入試が実施されます。
2023年度の高校2年生からが対象です。
※ 既卒生への経過措置
現行の教育課程を履修した受験生には、現行の共通テスト出題教科・科目が経過措置科目として出題されます。
現行の共通テストは6教科30科目で実施されていますが、2025年1月実施分からは7教科21科目へ再編されます。
「情報」の新設のほかにも、「国語」の試験時間延長、「地理歴史」「公民」「数学」で問題構成や配点の変更が予定されています。
参考)大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等
教科 | 科目 | 選択方法 | 試験時間・配点 |
英語 | 「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」 | 1科目選択 | 英語R80分100点、英語L60分100点、その他の外国語80分100点 |
国語 | 「国語」 | 90分200点 | |
地歴 | 「地理総合、地理探求」「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」「地理総合、歴史総合、公共*いずれか2科目を選択」「公共、倫理」「公共、政治経済」 | 6科目から最大2科目選択 | 1科目選択60分、2科目選択130分(解答時間は各60分) |
公民 | |||
数学① | 「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅰ」 | 1科目選択 | 70分100点 |
数学② | 「数学Ⅱ、数学B、数学C*B、Cは各2項目出題のうち2項目を選択解答」 | 70分100点 | |
理科 | 「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎*いずれか2科目の内容を選択解答」「地理」「化学」「生物」「地学」 | 5科目から最大2科目選択 | 1科目選択60分、2科目選択130分(解答時間は各60分) |
情報 | 「情報Ⅰ」 | 60分100点 |
国立大学では共通テストで6教科8科目を必須とする大学が中心になっています。公立大学では、今まで同様に少数科目で受験できる大学もあります。
私立大学ではすでに2020年度入試から大きな改革が始まっており、2025年度入試においてはさらにその変更が進むことになります。
例①:早稲田大学文学部・文化構想学部
一般選抜において従来の3科目入試の定員を削減、英語4技能テスト利用方式の定員を増加
例②:国際基督教大学
一般選抜の定員を削減、総合型選抜・学校推薦型選抜の定員を増加
変更の内容は大学により異なりますが、考え方のポイントは以下の通りです。
現在では、すでに大学生の半数以上が特別選抜(総合型選抜・学校推薦型選抜)で進学しています。 主に高3時の秋に選抜が行われますが、そのために必要な提出書類・資格試験の取得はさらに早い段階で準備が必要です。
また、一般選抜においても、以前は1月~3月の試験本番で点数が取れれば良かったものが、現在は英語資格試験が必要となる方式が増えたことで、実質的に秋までに受験する英語資格試験が合否を左右しています。「秋が本番」になったと考え、早期の準備をすることが必要です。
アドミッション・ポリシーとは、各大学が定める入学者受け入れの方針であり、学生に求める「学力の3要素」を示すものです。
この「大学が求める学生像」を理解することが、志望校研究によるモチベーションアップや、入試対策の検討にもつながります。
アドミッション・ポリシーの研究は、特別選抜志望者だけでなく、一般選抜志望者においても大切な準備です。
総合型・学校推薦型選抜から一般選抜まで広く導入されており、その利用方法は様々ですが、より高いスコア・級を所持するほど有利になるのは間違いありません。
また、例えば英検であれば合格したら終わり、ではなく、CSEのスコアアップのために受験を続けることも有効です。
例①:慶應義塾大学文学部 英語外部試験利用の出願基準 英検CSE2,500以上
例②:立教大学 共通テスト利用方式における英語の得点換算
英検CSE 2,450→100%相当、2,400→95%相当、2,300→85%相当
例③:早稲田大学文学部・文化構想学部 英語4技能テスト利用方式の出願基準
英検CSE2,200以上